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kurayami.

暗黒という闇の淵から

アナザーアウラ

 このカフェに来たのは、いつぶりだろう。深く沈むソファが並んで、懐かしいクラシックが流れている、変わらないな。
 当たり前のように、カフェの中には僕らしかいなかった。
「念願の想いが叶ったって顔だね? 初めましてか、久しぶりか」
 向かいのソファに浅く座った年下の君は、余裕のある表情で僕に語りかけてくれた。僕は、どんな表情をしているのだろう、君の言う通り叶って喜んでいる顔か、それとも歪んだ顔をしているのか。
 確かに君には会いたかった、出来ることなら食って殺してやりたい。
「僕はそんなこと思わないけどね。こうして話せて嬉しいさ」
 嘘が上手い君の、笑顔。
 もう二度と会わないだろうから、しっかりその顔を覚えて帰ってやるよ。
「怖い顔してるよ、とても。何から、何から話そうか。そうだな、君の近況が知りたいかな」
 近況。そんなこと滅多に聞かれないから、考えたことなかったな。昨日はレンタルショップで映画を借りたし、その前の日はパン屋でクロワッサンを買った。
 なんだ、君より充実しているじゃないか。あ、でも、君は、
「あの子とは連絡取れてる?」
 残念だけど。
「そっか、それは、残念だ。あの子と過ごしてたカフェも、ここだったね」
 顔を見せたくないのか、君はソファにもたれかかって上を見上げた。
「で、僕のことは、聞かないのかな」
 知ってることは、わざわざ聞かない。
「はは、それもそうか」
 知りたいのは君の感情だけだ。
「熱烈だねえ。だけど知るだけ知っても無駄だと思うな。君が知るべきことは、もっと別にあると思うんだけど」
 その言葉にすら、どんな感情があるのか僕にはわからない。
 わかる、わかるよ。だけど、
「その癖も、まだ直ってないんだね。まあ、ただ、僕にも君が何を得るべきなのかはわからないけどね」
 わからないくせに、見透かしている。少なくともその部分は取り返したい。
 素直に、君のことは尊敬してるよ、嫌いだけど。
「もう、そこからだよ。わからないな、僕を尊敬するだなんて。何があったんだよ」
 時は人を残酷に変えるんだ。君にはわからないことだよ。
「変わったね。僕からしたら、欠如したように見えるけど」
 何が欠如したかだなんて、考えたくない。
「それは、僕にあって君にないものだよ。かと言って、僕らで引き算をして答えを出すことは出来ないけど」
 なんでそう、不気味に言葉を引き出せるんだ。
 いや、だったら、だから、僕が君になるんだ。
「君は、僕にはなれないよ。例え真似たところでその欠如はもう二度と取り戻せない」
 崇高な君にはわからないだろう。俺……僕のことなんて知らないはずだ。
 なのに、どうしてそんなに自信があるんだ。
「いや、君だって、本当はわかっているはずだよ」

「もう一度言う、君は僕にはなれない。いや、もう僕に戻れない」

「残念だったね。残念だよ。君は、僕を殺したんだ」

 

 

nina_three_word.

アウラ