kurayami.

暗黒という闇の淵から

孤独から見つめた星々

 また一つ、光が途絶えた。
 元はと言えば最初に僕が消したんだ。高校卒業を区切りに全部変わるつもりだったから。だって元々の僕はそれはもう酷かったんだよ。頭が悪くてお調子者で、時に人を傷付けてでも身を守るような勝手。今しか考えてないツケが巡り巡って自業自得に苦しんでいた。そんなどうしようもない僕を殺すには、関係リセットという形で大半との〈繋がり〉を途絶える他にない。誰とも離れたくはなかったけれど、こうなるまで悪化した僕が悪いから仕方がなかった。仕方がない。何度だってそう言い聞かせた。
 そしてあの時、四月一日に、多くの光を自ら失ってしまう。
 いつもの賑やかさが携帯から失われて、一気に暗くなった。その分伝えたり揺れたりする感情が少なくなって、僕の感情は徐々に落ち着いていく。本当に死んで生まれ変わったようだった。いつも一緒に馬鹿をしていた友達がいなくなっただけで真面目なことを考える時間が格段に増えたし、大学で出来たおとなしい友達と一緒にいると昔の時間とはなんだったのだろうと疑問に思う。過去が無いみたいで寂しいとは思ったけれど、その暗い感情すら大切に抱いて自身を変える糧にしていた。
 大学やバイトで出来た新しいコミュニティによって、新しい光は徐々に増えていく、大切な〈繋がり〉。もう二度と自身を駄目にしないように、もう光を途絶えないようにと、身を落ち着かせたんだ。先を見据えて、誰も傷付けないようにと小説のページだけを捲って、近付く人には優しくして。
 去っていく人は無理に追わなかった。
 ただ、それだけだろう。
 光は刻々と途絶えていく。可笑しなことに、おとなしい人でいるだけで〈繋がり〉は何故か離れていくんだ。そんなわざわざ離れる必要ないじゃないか……いや、もしかして僕がまだ変われてなかったのかもしれない。そう思って、だから、もっと、大人しくして、無害だってことを証明し続けた。暗さは無害だ。静けさは無だ。そうだろう。
 日々光が失われていく中で、僕は本当の暗闇を知らなかったんだなあと実感する。何も見えなくて、選択肢がない。ただ、そんな広がる暗闇に微かに残る光が強く輝いて見えて、綺麗だと思えた。ああ、無になることは無害とかじゃなくて、興味を持たれないだなんてこと、何かしらの刺激があるからこそみんな繋がっているだなんてこと、こうなるまで気付けなかった。
 日常は常に夜に。僕は孤独へとなっていく。
 今更変わる気なんてなかった。元に戻ることはもちろん不正解だし、他に変わりようがわからない。
 きっと、こうして途絶えていく光を見続けることが、僕の唯一の選択肢で、他にない正解。
 

 

 

 

 

 

 

nina_three_word.
〈 刻々と 〉〈 途絶える 〉