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kurayami.

暗黒という闇の淵から

三年間の充電

 とある定時制高校。その中で救済劇と悲劇を繰り返し、少女は学生たちに影響を与えてきた。
 聞き入ることで変わってしまう、そんな少女を学生たちは皮肉と愛情を込めて、こう呼んだ。
 革命家と。

 中学校を卒業した少女は新たな時間と刺激を求め、定時制の夜間部へと入学した。昼過ぎに起き、夜中に授業が終わるという、今までとは違う時間に、少女は期待する。
 今まで満たされなかった何を、少女は求めて。
 少女が入学したそのクラスは、夜の暗さも相まって、陰があった。各々が関わることを否定するような、そんな雰囲気に少女は息が詰まる。しかし、自らが望んで飛び込んだことに、少女は後悔をしない。
 やがて少女は軽音部に入ることを選んだ。少女と、その他幽霊部員の軽音部。その中に取り残されたマイクとギターを手にした少女。それが〈満たされなかった何か〉を、埋めるものだと信じたのだ。
 少女は、自身の言葉をメロディに乗せて吐き出すことを選んだ。
 少女自身の内にあった、あどけなさのある想いを素直に言葉にして、メロディにした。陳腐で狂った臭い歌。それを受け入れてくれる学生は最初のうちはいなかったが、次第にその内に秘める想いを暴露する衝動に、ハマる生徒は増えていった。
 暴露による影響力と需要に少女が気づいたのは、入学して十ヶ月経った冬のこと。その頃に陰のクラスは、暴露という形で互いが関わり、闇を持ったクラスへと変わっていた。
 自身の内の言葉から、少女は人を見定め、見透かす歌を吐き出すようになる。
 それは凄まじい影響力だった、歌は夜間部から時間を超え、昼間部へと影響していく。見透かされた後ろめたい想い、身勝手な本性、それを許すというメッセージ。
 少女の歌は、人を変えていく。闇は隔たりをなくし、ぶつかりあい、学生と環境を変えた。それはまるで革命だった。
 変わったのは、学生だけではなかった。
 卒業をする頃、少女は自身がいつの間にか、〈満たされなかった何か〉が満ち終わっていたことに気づいた。
 学生たちを見透かし、考えているうちに、それは日々充電されていたのだ。思春期の心の闇の愚かさ、残酷さ、これから先に広がる途方もない時間。前進する意思を持たずとも、世界と時間は流れ、変わっていくことに、少女は気づいてしまった。
「とても、とてもつまらないなあ」
 それは、少女が最後に歌ったフレーズ。

 高校三年間という充電期間。それは〈後悔の念〉を充電し〈あどけなさの残る革命家の少女〉を殺した。

 

 

nina_three_word.

〈 充電 〉〈 革命家 〉〈 あどけなさ 〉