kurayami.

暗黒という闇の淵から

2018-01-01から1年間の記事一覧

消失点

熱気が苛立ちと共に俺を包み、前髪に汗を滴らせた。 コンクリートの硬さが一々身体に負担をかけて重圧が歩みを遅らせる。しかし、気が遠くなる真夏の残酷とは裏腹に、俺の精神は酷く落ち着いていた。「ああ、大丈夫だ」 わかっていた。 全部わかっている、理…

冷たく白糸を解かれて

藍色が色濃く、深く染まる黒髪の夜十一時過ぎ。 冬の冷たさが終わるべきモノたちを、凍らす前に。 高層マンションの屋上から、少女が眠る街を見下ろしていた。白く揺らぐ子の朧な光。無人の道を濡らす街頭。夜に襲われて拭えない一室の明かり。街は鼓動する…