2016-01-01から1年間の記事一覧
私の住んでる町は、古い再開発の計画によって、たくさんの廃墟が出来ていた。 再開発の話なんて、忘れられているんじゃないかって思うぐらい、町は放置され、住民はどんどん離れていく。 町は、時間が止まったみたいに、静かだ。 高校の授業を終えて、同級生…
どさっと、また人間が落ちて、人間に重なる。 また、死んでいる人間。元から死んでいたのか、それとも落ちて死んだのかはわからなかった。少なくとも、不自然な方向に曲がっている身体は、俺に死の事実を主張している。 俺がここに落ちてから、数時間が経っ…
「ねえ、暗闇ちゃん」「ん? どうしたの?」 暗闇の部屋の中。ベッドの上、暖かな声と、冷やりとした声が、二つ。“暗闇ちゃん”と呼ばれた、病的な白さに、真っ黒で長い髪、癖っ毛、セーラー服に黒いカーディガン、黒タイツと、萌え袖からつま先まで真っ黒。 …
これは、僕が十代最後の旅をしていたときに経験した話だ。今思えば夢だったかもしれないけど、現実に旅には出てる。虚構と現実、半々ぐらいに、聞いてもらえればいい。 中国地方の旅を終えて、東に向かってるとき、京都五山送り火の日付が近いことを知ったん…
「今年もあと1ヶ月になるのでいいねした人に一言」というツイートをした結果。25人と、他の経由を果たして16人。計41人に一言と、それ以上のメッセージを考えました。よろしくお願いします。 小梅ちゃん(@A_koume )可愛い。何回も言うけど、この前のデート…
男は寂しがり屋だった。 例えば、男がまだ小学生だったとき。遠足で行った広い草原でのことだ。昼食の時間になり、各々がレジャーシートを敷いて場所を取るとき、男は必ず、人に囲まれ、誰とでも話せる場所を選ぶ。席替えでは、周りに人がいないと落ち着かな…
私がいつも、繰り返し、見ている夢。 夢の中の私は、私なのか、誰なのかわからない。男か、女かもわからない。手足の生えた、凹凸のない、人形のような身体。不恰好だけど、でも自身が誰であるだとか、男であるだとか女であるだとか、姿形、そんなアイデンテ…
人々は犯した罪の数なんて、元々、覚えていなかった。 言われても思い出せないかもしれない。 見えても、思い出せないかもしれない。 一年も前のことだ。都心の夜空に紅いオーロラが現れ、人々は終焉を唱え始め、次第に終焉を待ち望むようになった。 揺れる…
暗い暗い、木々に囲まれた斜面を、全裸の男が転げ落ちる。肌寒さと、剥かれた皮膚の熱さが混ざっては、溶けて焦燥感は増していく。 漏れる息と、脈打つ心臓の音が、男に響く。 絶対に生きるという、人間としての強い意思を燃やして、男は下る。 男にとって、…
「こんばんは、もういるのかな?」 「こんばんは。ここにいるよ」 「姿が見えないだけで、こんなにも不安になるんだね」 「私も、貴方が来てくれるか不安だったよ」 「僕が来ないわけないだろう。今日がその日なんだから」 「うん……ねえ、用意できた?」 「…
きゃんでい @can_candyただいまあ!2013/07/10 20:34 春香は睡眠中ぅ @harurukaんん、また延期になったんだあ…2013/07/10 20:34 きゃんでい @can_candyあーあ仕事長引いちゃったなあ2013/07/10 20:34 SARA @Amanesara@can_candy おかえりきゃん!201…
日の暮れた、部活の帰り道。少年は突然の、肩のするどい痛みに叫んだ。振り返れば、そこにいるのは、同じ学校の制服を着た少女。満面の笑みを浮かべ、ナイフを片手に立っている。 肩に広がる、生暖かい感触。 ……切りつけられた。「ねえねえねえ、私のために…
一歩、一歩、と。冷たい深海を目指し、足を動かす。前方に広がる、奥底がない闇は、まるでこの世界と、あちらの世界の境目だ。夜の砂浜を波打つ音は、この暗闇の中、海の音とは思えない。まるで、人の咀嚼音のようだ。俺の行き着く先は地獄だろうか。ああ、…
日がいつもより早く暮れそうな、ある冬の日のことだった。 少年はいつものように、夕方のチャイムで解散して、友達と別れ、自らの町へと足を向ける。通学指定区域から外れて通っていた少年の帰り道はいつだって一人だ。心配性の親には、暗くなる前に帰るよう…
梅雨前線デートをじゅんさんと。(2) - kurayami. 小梅ちゃん、じゅんさんとの浅草デートポートレイトの記事はこれで最後になります。 最初の方はぎこちなかった二人も、一日を通し、はしゃぎ、寄り添うようになり、写真の中で恋人へと昇華しました。 (君の…
梅雨前線デートをじゅんさんと。(1) - kurayami. 引き続きです。実は前回の記事の最後辺りで、小梅ちゃんがタイツになってるのも見所です。 買ってきてくれたじゅんさんが最高です。(買わなくても彼は最高な男です) 親指でハート作るやつ、ポプテピピックみ…
この前、カメラマンにじゅんさん、彼女(役)に小梅ちゃんと制服デートポートレイトを、してきました。話はたぶん、一ヶ月前ぐらいからしてて、ずーっと楽しみにしてたんですよ。 それで、今回はそのデート具合を振り返っていきたいと思います。惚気かどうかで…
僕には同じ腹から産まれた、三つ上の姉がいる。 姉はいつも優しく、知的だ。似たとこがあるとするなら、部屋の片付けができないことや、かたいラーメンが食べれない、あとは、全体的な顔のパーツなど。 姉の部屋は、親から譲ってもらった木造の家具と、たく…
仕方がないことだった。 僕は、今まで、誇れる仕事をしてきた。人を助け、人の生に希望を与え、人を幸せにしてきた。神様の言う通りに、良いことをしてきたんだ。 それが人間の世界にいる、僕の役目。 天使として生活をしつつ、人間としても生活をしないとい…
「告白をして、ふられてしまったんだ」 「こっぴどいふられ方だった、なんだっけ『お前みたいな変人とは付き合えないよ』なんて、言われたと思う。酷い話だよ、ねえ? そんなに否定しなくたっていいじゃない、ねえ」 「確かに私の好きなことは、他の人があま…
思い描いていた未来、なりたかった将来、この世界の平和そんな理想論は、なかったことにもできるし思い出せば、それはあったことにもできる あの頃の私はまだ思い描いたものも、なりたかったものも、平和も全て胸の内にあった私はなんにでもなれるし、今日は…
「ねえねえ」 木造の椅子に縛られた、両腕のない男が、女に語りかける。女はそれを無視する。「お腹、空いたんだけど」「お前は、自分の立場をわかっているのか?」 女は我慢できずに、返事をしてしまった。 クーデターを組織していた男と、そのクーデターに…
「……蝋燭なんて、普段使わないから、いまいちわからないんだよなあ」 仄かに暗い埃っぽい廃墟、昼の白い光が差し込む部屋の、闇の方。数本の蝋燭に囲まれた中に、両腕を切断された男は、木造の椅子に座らされていた。 その対面にいるフードを被った女が、男…
深い深い、山の闇夜の中。幼さがまだ残っている少女は、ぼんやりと紅く照らす鳥居の道を、心細く歩いている。 一つ下の弟、太郎が消えて三日目の夜。少女は我慢できなくなり、飛び出した。帰らない太郎に、心当たりがあったのだ。町の西にある山の裏側、そこ…
叶わない理想ばかり、考える毎日。 私が買われてから、何ヶ月が経ったんだろう。この部屋には、窓しかないし、その窓からも見えるのは森だけだった。とっても寒いから、冬だとは思うけど、それにしてはやけに静か。十一月、十二月というのは、もっと騒がしい…
この空は セロハンを重ねた色 空は 硝子色 硝子色は 気まぐれ 気まぐれなら 猫っ毛 あの空に 色彩なんてなかった この月は 太陽の輝き 月は 白熱灯 白熱灯は 溶けていく 溶けていくなら アイスクリーム あの月に 光なんかない この星に 僕らの街があって 星…
chatte.hatenablog.jp 1.どう、最近? 睡眠時間削ってる?「毎日妖怪に呪われてる中、いっぱい寝てます。こんばんは、千代恋あめです」 2.今日も100質やるよ、よろしくね。「これも呪いかなにかだよね」 3.インド風のもので一番好きな食べものはなんです…
落し物をした。 雪が積もった杉林の中に、僕は落し物をした。雪に足を持って行かれて、歩き辛い。昼間に来て正解だったのかもしれない。夜だったらもっと、歩けなかったかもしれない。 落し物は、よくする方だった。特に大切なもの。友達から就職祝いにもら…
木枯らしの吹く寒い十二月。男は部屋に引き篭もって、インターネットで動画を見ている。動画は、人気アイドルグループ「ハッピード・ラッグ」の看板番組。男はその中でもセンターの隣にいる「掛川聖良」を推している。清純派にはない妖艶で蠱惑的なキャラク…
chatte.hatenablog.jp 友達であり、師であり、サークルの編集長であるじゅんさんに、処女作『原稿団地の少年』についてレビューをもらいました。それはもう、濃い内容で。とっても嬉しい。正直、原稿団地は埋もれていく運命にあったと思ってたんですけど、最…