kurayami.

暗黒という闇の淵から

2016-01-01から1年間の記事一覧

博士は煮っ転がし

私は純白のドレスを身に纏った、お嫁さん。結婚式を終えたのに未だに脱ぐことができないの。だって、いつまでもお嫁さんであることを忘れたくないから。 私の夫は、解剖学の博士。私はその助手だった。研究熱心だったあの人に一目惚れして、私の猛烈なアタッ…

めざめの国

切れかかった照明、質素な部屋。ビンの中の錠剤が半分なくなっている。眠気を覚ますための、錠剤の形をしたカフェイン。それは、俺にとって永遠の睡眠剤だった。はやく効いてくれ、願うしかない。 そのうち、指先が痺れてきた。なんだか冷たい。ああ、クソだ…

暗闇ちゃん

照明を落とした部屋の隅、 路地裏、裏表ある心、暗黒という闇の淵。真っ暗な暗闇から、彼女は現れる。彼女の名前は、暗闇ちゃん。 イラストは親友の前野が描いてくれました。 その少女、人ならざるもの。暗闇の中を自在に行き来し、暗闇を纏い、暗闇に溶けて…

僕の師匠

僕の小学校には新校舎と、旧校舎がある。旧校舎は主に理科室とか、音楽室とか、クラスのための教室とかはなくて、専用の教室しかないんだ。新校舎は真っ白で、角ばってて、エメラルドグリーンの綺麗な廊下が広がっている。 確かに綺麗だけど、僕は旧校舎の方…

真っ赤な頭

ぽん、ぽん、ぽん。可愛いゴムボールが跳ねている。私はそれを、眺めている。私自身、それを眺めているし、射影機が映し出す私の記憶を、大人になった私も見ている。これは、小さい頃の記憶、何歳だったかは覚えていないけれど、ボールが勝手に家の庭で跳ね…

枯れていく

私は花が見たい。 日の光がさす部屋の中。世界を恨むコーネリアがそう呟いて、私に真っ白なコンパクトディスクを渡した。見たい花だなんて、もうこの世界に存在する有機物は、貴方と、あの吸血虫ぐらいですよ。 この世界はもう、吸血虫によって、ほとんどの…

千代恋の日常、am(後半)

千代恋の日常、午後(前半) - kurayami. の続きです。 51:ふだんよく聴く楽曲をクラブで改めて聴くと、特段「いいなあ」と思えるのはなぜでしょうか。 「爆音だったり、人の空気だったりが作用するからだと思いますよ。クラブ、あまりいかないのでわからな…

捕縛

時間にして、深夜二時のこと。僕は大学のレポートと対峙していた。その日付の午前中、つまり数時間後に提出のレポート。書くことも思いつかなくなり、僕は一度外に出ることにした。コンビニでもなんでもいい、外に出たかった。一瞬逃げることも大切だと、自…

千代恋の日常、午後(前半)

chatte.hatenablog.jp じゅんさんことらららぎの「日常100の質問」やってみました。 「まずは前半です。どんなことを聞かれるのかわくわくしてます」 1:今日はよろしくね! 「やっほー!じゅんさん!」 2:まずは名前と性別、余力があれば「家柄、学歴、…