「俺たちの永続性について話そう」
彼はそう言って、カーテンを閉めた。
「永続性?」
もちろん私には、その言葉の意味はわかっていた。いたけど、わからないフリをする。あまり話したくない話題だった、わからないフリをすることで避けれると思った。
「今の関係、これからの維持について、かな」
カーテンを閉めた彼は、冷蔵庫を開けて、紙パックのレモンティーを二人分、グラスに注いだ。
「どうしたの急に」
止まらない彼を、私は笑って止めようとした。でも、彼はその真剣な表情を崩さない。もう、止まらない。
彼は、どのことに気付いたのだろう。彼の綺麗な瞳は、ついに私の心を暴いてしまったのか。
グラスを私に渡して、彼は私の横に座った。
「んー君が、嘘ついてることかな」
私を警戒させないためか、彼は特別を含まないような声のトーンで、私にそう言った。
「嘘?」
「うん、嘘」
どの、嘘だろう。
「君が、俺に吐く愛情表現の言葉、そのほとんどが嘘だよね」
彼は、呆気なく言った。ああ、ついに、暴かれてしまったの。
「いや、ずっと気付いてたんだけど、このままじゃ何処かで拗れると思ってさ」
彼の横顔からは、どんな表情をしているかはわからない。けどその表情を見ても意味がないだろう、きっといつものように平然としている。
「どうして」
「一緒に過ごした時間ってのは、嘘をつけないからね。これだけ長くいればわかるよ」
彼なら、例え気付いたとしても、気付かないフリを貫くと思った。
だからこそ意外だ。話してどうするんだろう。私は、ここまでなのかな。
「……そう、そうだよ。全部、嘘」
終わりの淵に立たされた私の声は、か細い。
しかし、彼はその言葉に、反論をした。
「だけど、それも嘘。全部は嘘じゃないだろう」
彼のその言葉に、私は驚愕した。何か自身で気付いていない事実に、彼が気付いたことに。終わりの淵に立たされてたことに、安堵していたことにも。
「君がさ、夜、布団の中で言う、あの言葉」
夜、布団の中で彼と、眠りに落ちる手前、この世で一番寂しい瞬間。
〈決して離れないよ、離れたくない。〉
あれは、
「あれは、本心だろう」
「どうして、そう思うの」
どうして、そんなに見ているの、知っているの。
「時間は、嘘つかないから」
彼はまた、さっきと同じことを言った。それは、時間だけじゃ気付けないってこと、彼はわかっているのかな。私をずっと見てないと、そんなわかるはずないってこと。
「君は、俺のことが好きじゃないけど離れたくない。俺はそれに気付いている、それだけ確認したかったんだ。うん、永続性の話おしまい」
私に意見させることなく、彼は話を終わらせた。これじゃあ、宣戦布告だ。
でも、確認したことで、きっとずっとずっとこの関係は続く。
私は心の何処か、嘘だとバレて向こうから突き放すことを、期待していたのかもしれない。私からは、離れられないから、離れたくないから。
ああ、もう。彼の言葉で私は、もう離れられないんだ。
nina_three_word.
〈 暴く 〉
〈 藤 〉
〈 永続性 〉