kurayami.

暗黒という闇の淵から

虚しくも描いていた

 私の人生は、予定変更の繰り返し。運命は、何度だって狂った。
 幼い頃、私は花屋さんになりたかった。有り触れた少女の夢だったけれど、私は本気だった。でもその夢は中学生で変更された。
 友達が書いていた自作小説に影響されて、私は小説家を目指すことにした。文芸部に入り、自分好みの小説を書いていた。花言葉を多く使った小説。身内での好評価に私は満足していた。いつの間にか、そこで止まって、進めないまま。
 そんなぬるま湯に浸った中、私は高校受験の時期に入った。繰り返し勉強をする一方で、私は高校生活への夢を膨らませていた。知り合いのいない環境での、変わった新しい私。百人の友達。甘酸っぱい青春。順調な勉強。
 充実した、苦渋のない生活の予定。
 もちろん、そんな予定は変更されていく。
 心の内を曝けだせないような友達が二人。陰湿でちくちくとした陰口。下心しかない余裕の無い男子。平均下のテストの点数。そんな現実が作り出す暗い暗い、面白みのない、私。
 彩りのある青春の予定は、入学して瞬く間に、モノトーンが似合う三年間の予定となった。そして、三年間は予定通り、終わっていった。
 それが当たり前で、普通だった。受け入れることはできた。
 けれど、思い描いていた予定は、確かにあったんだ。
 いつの間にか、花屋も、小説家の夢も、彩りのある時間への予定希望も消えて、私は無難に三流大学へと入っていた。
 もはや、夢なんて無くて、将来の予定は未定などない。私は、空っぽだった。
 大学二年。そんな空っぽを好む、物好きな男が現れた。私はもちろん、その男を受け入れた。例えそこに下心があったとしても、こんな空っぽを受け入れてくれるならと、虚しくも喜んでいたからだ。
 男は優しかった。私の代わりに物事を決めてくれた。私の手を引っ張ってくれた。私を、決めてくれた。私は空っぽのままだったけれど、外は暖かさで満たされて、安心させてくれた。
 ああ、そして私は願ってしまった。このままずっと、一緒にいれたらなんて、そんな予定を。
 それは、もちろん、
 男は他の女へと移って行った。後ろから背中を押して殺す予定も立てたけれど、それも叶わず、今では一生呪う予定でしかない。

 幸せへの予定は、今では息を吸い、吐く、生に執着した予定だ。

 私の望んだ予定は、何一つ実行されなかった。
 私の運命は何一つ、正解へと辿れなかった。
 私の運命は、時間は、未だに何一つ完成していない。
 未完成な私、中途半端な、運命。
 それならば私は、中途半端なりに、身を流れに任すだけだ。

  


nina_three_word.

〈 予定変更 〉〈 中途半端 〉