kurayami.

暗黒という闇の淵から

『少女七編』の零編。

 

 これは〈まえがき〉であって〈あとがき〉です。

 

 11月23日開催の東京文学フリマにて頒布された新刊あみめでぃあ7。 この記事はそんな素敵文芸同人誌に収録されている、僕の『少女七編』について。最初にも書いた通り〈あとがき〉〈まえがき〉というやつですが、内容には触れないので読んでない人も安心して読めますよ。だって、相変わらず僕の話なので。

 この記事を読んで『あみめでぃあ』及び、僕に興味を持ってくれたら幸いです。

 

 今回書いた『少女』という概念は、今までに書いた『自傷』『失恋』『首輪』とは少しだけ経緯が異なりました。三年。書こうとしたのは三年も昔の話なんです。

 僕がまだ十九才で、当時“ぬか”を名乗っていたとき。初めて『あみめでぃあ』という言葉が生まれたあの季節。チョコクロサンマルクカフェ)にてルームメイトだった現編集長らららぎと、まだお兄さんでしかなかった現誌長ちくわが『あみめでぃあ』を立ち上げた場に僕はたまたま居合わせていて、流れとノリと勢いで、初号への参加があっという間に決まりました。

 あの頃は何にも興味があって、それは“原稿を書く”という行為にも。なので、やる気はあったんです。あったのですが、原稿の書き方を何も知りませんでした。もちろん“概念”が何かもわからない。何一つ技術を持っていなかったんですよね。手探りと助言と迷走だけで概念を探す冒険。最初は『星的女性(当時僕の中で流行っていた褒め言葉)』という概念を書こうとして、突き詰めていくうちに「これは概念ではなく、僕の好きな女性のタイプじゃないか」と気付き気付かされました(なんで気付かなかったんだろう)(まあ、それを概念にして文字にするのも面白そうなのですが)。次に『メンヘラ』の概念を書こうとして、インターネットに蔓延る影が巨大すぎることを知ります。「概念って難しいじゃないか」と勝手に迷走自爆ばっかり。書くべき概念はもっと自分の身に染みたモノにするべきじゃないか? と悩んだとき、思い出したのは安定してずっと好きだった『少女』というモチーフでした。

 昔から曲や物語から得る『少女』の美しさ、危うさの魅力。その正体の答えは既に僕の中にあるんじゃないかと、“ぬか”は悩みながらも模索を始めます。とある『星的女性』に文章を見てもらい、助言と問いかけを何度も貰いながら。しかし、まあ結局(僕的な問題があってアレでモヤをかけてアレしますが)『少女』の概念原稿は完成することなく、書きかけのまま闇へと消えていきました。いや、あの様子と能力だったら、真っ直ぐに原稿に挑んでも終えれなかったでしょう。そしていろいろあって“ぬか”も一年姿を消します。

 

(三年前に“ぬか”が書き残した、未完成の『少女』の原稿)

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(なんだか硬くて、肩の力が抜けてない感じがします。この他にも残っていたメモ等と一緒に『少女七編』では材料として使われました。)(そして『少女七編』では別の答えへと辿り着きます。)

 


 一年経ち編集部の面々と再会し、そこから半年後。再び『あみめでぃあ』の舞台で書く機会を頂きました。能力不足の僕は(段落が全角スペースじゃないといけないこと、二つ続く三点リーダーすらも知らなかった僕には)『少女』の概念はまだ書けないと考え、経験的に僕にしか書けないであろう『傷の降る手首の話』を完成させます。次に忘れられない想いが『失恋学入門』を作り上げ、そろそろ『少女』の概念を書こうかと悩んで、結局書きたかった『悪者の首輪』を完成させます。

 そして今回、ついに『少女七編』を。

 とっても、とても上手に書けました。毎日執筆の成果が出てると思います。在るべき原稿の姿というか、今回のは特別気に入ってるんです。七編目の『後悔と、うそ』は読み返すと切ない気持ちでいっぱいになって、優しい刃物みたいだなって。うん、綺麗に書けた。あのときに……あの頃に完成しなかったのは正解だった。

 長い憑き物が手から離れたような気分です。「ありがとうございます」本当に。

 三年経って、やっと一つの後悔が溶けました。

 

 


 年始以降も生きていたのなら、次は『東京』の概念について書こうと思っています。また僕なりの概念語りを届けれたら良いな。

 だからどうか、一秒先の僕をよろしくお願いします。